このところ神戸市看護大学の林千冬先生たちのグループの研究成果がネットニュースなどでも取り上げられています。(ちなみに林先生は学会などでお話することもある良き先輩です。)
訪問看護師の5割「利用者、家族から暴力受けた」 「抱きつかれた」セクハラ被害も 神戸市看護大が調査
この記事だけを読むと、なんだか訪問看護って怖そう・・・とかそういったイメージを持たれてしまうかもしれません。
なかなか得られにくいデータなので、貴重な成果であることは間違いありません。今回の調査方法がはっきりわかりませんが、どうしても「これまでの経験」という聞き方すると毎日のようにセクハラを受けている人も「10年訪問してきて1回あったなあ」という人もまとめて「経験あり」になってしまうので、50%という数字をどう解釈するかという点が一つあります。頻度がどの程度なのかもわかると良いなあと思いました。
では病院は安全なのかというと、病院でも医師や看護師に対する暴力というものは残念ながら少なくはありません。意図的なものも、妄想やせん妄状態で意図的とは言えないような状態でのものも含め、それなり数があることが報告されています。ただ在宅は密室のなかでのサービス提供となるので、セクハラを含めた暴力行為の状況を確認したり、止められる人が他にいないという点で特徴があります。
報道ではなかなか触れてくれませんが、普段から当然のように、看護管理者にとっては対象者だけでなく、職員の安全も大事な関心事です。たとえば、必要があれば複数名で訪問をすることが報酬の中でも認められていますし、条件を満たさない場合には管理職が同行訪問したりといった形で対応していることは多いと思います。またセコムの訪問看護ステーションさんでは、携帯のボタンを押すと、セコムの警備員が急行してくれる体制を整えているとも伺ったことがあります。
報道の皆さんには、こうした取り組みにも目を向けてもらえると良いと思います。