旧サイトを閉鎖します

旧サイトの情報も閲覧できるようにしてきましたが、サイトを表示させているCMSのシステムが最近、更新されなくなってきたため、セキュリティの観点から、閉鎖する方向で考えています。

旧サイトの情報でレストアできるものは、こちらのサイトに活かしていこうと思いますが、多少手間がかかりますので、責任を持って対応できるとはいい難い状況ですので、ご容赦ください。

避難解除地域で一人、訪問看護を提供する選択肢

卒業生の訪問看護師の方から、ご相談をいただきました。

同じような質問をお持ちの方もいると思いますし、自分の理解に誤りがあるかもしれないので、ブログに公開する形でお返事します。

訪問看護ステーションの開設には常勤換算で2.5人の看護職が必要となります。規制緩和とのからみで、この縛りを1名にしたらどうかという議論は有りましたが、サービスの質の維持といった観点から現在は立ち消えとなっています。

質問は福島で放射能汚染がある東京23区の2/3ぐらいの広さの地域に今後避難指示が解除され高齢者を中心に住民が戻って来ると想定されるが、地域には非常勤医師が時々来る診療所が一箇所、周辺の市には病院がある程度だそうです。こうした場所で訪問できる看護職が1名だとして、どうしたら訪問看護を提供できるのか?ということでした。

最終的には自治体の判断になるので、自治体と相談してくださいとしか言いようがないのですが、制度的な選択肢としてはいくつか考えられます。

  1.  地域の診療所もしくは近隣の病院の協力を得て、医療機関からの訪問看護を提供する。
    (医師との連携、指示も必要なので、最も無難なところ。)
  2.  理解のある周辺の訪問看護ステーションと相談をして、当該地域にサテライトを設置する。
  3.  介護保険法42条の規定を用い、特例居宅サービス費
    (介護保険法第42条の仕組みを用いる。自治体の指定が必要となること、法制度的には離島や過疎地域に限定されているため、そうした地域に該当するかどうかの判断が必要なこと、医療保険からの給付ができないことなどが課題)
  4.  よくわからないけど、政治家に頼んで「特区」や「例外」を作る。
    (震災直後から数年の間は被災地で例外的に一人開業が可能でした。ただ、今はある程度周辺の医療介護体制が立て直されてきているので、上の制度を使うことになりそう)

こんなところだと思います。

 

2017年の御挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。

今年度も、在宅看護学の研究・教育に邁進したいと思います。年頭にあたり少し考えていることをまとめておこうと思います。

昨年は当初想定していなかった教育上の担当がかなり増えたこともあり、なかなか日中に、対象先を回ったり研究補助者を招いて準備をすすめる余裕がありませんでした。このあたりは、今年修正していきたいと思います。その代わりというわけではありませんが、夜に一人でもできる執筆作業はいくつか進めました。

年内に出した「在宅新療0→100」の解説のほか、3月までの間に医学書院の在宅看護論のテキスト、恩師らの仕事を引き継ぐ形で「生き方としての健康科学」の改訂版、そしてまだ執筆中ですが、一昨年のコミュニティケアの増刊号で取り上げた実習の特集が書籍化される予定で、内容を新しくすると共に一部内容が追加される予定です。

自分の研究については、現在のGISの科研をまとめるか延長していくことと、生体肝移植のドナー調査が再開しそうなので分析、論文化に尽力したいと思います。(ここで施設別のマルチレベル分析もできるかな)

教育については、4月からの新しい態勢で、質を落とさずにどのようにやっていけるのか、大変懸念を残しています。投入する資源を少なくして同じ成果を残せる方が不思議なのだとも思います。なかなか答えの出ない話です。大学院に関しても在宅看護CNSの養成は本学ではまとめの時期に入ると思いますが、やはり昨年度の状況を踏まえると修了生の看護協会の試験について何らかの支援をしていかないといけないのかもしれません。本学単独ではなく学会での活動などともうまく結びつけて行けると良いかなと思います。

社会貢献という点では、NPO法人在宅ケア協会での幹事を昨年の任期満了の時点で退任することに致しました。また学会活動では4年間務めてきた日本保健医療社会学会の理事についても今年の5月で退任となります。昨年からお引き受けしている日本在宅看護学会の理事については当面続くようですので、研修担当として現場の方、研究者向けにどのような研修を組んでいくのか検討してゆきたいと思います。

色々、これまでの状況を振り返り、昨年末に私なりに一つの決断をしました。これがどのような結果になるのか私にも良くわかりませんが、自分にできることや仕事の方向性がそんなに変えられるものではないと思います。これまで忙しさにかまけて調査研究を避けてきてしまったけれど、やっぱり自分の得意分野は調査研究かなと思ってみたり…と不惑を数えで4つ過ぎてもまだ惑うことばかりです。こんな私ですが今年もどうぞお付き合いください。

訪問看護師と医師との連携についての解説が掲載されました

在宅新療0-100 2016年12月号に、戸村ひかり助教との共著で「訪問看護の現状と医師との連携を踏まえた今後の役割」と題した解説論文が掲載されました。

訪問看護をもっと知る 連携し、地域と患者の生活を支えるために」という特集の総論として掲載されたもので、この雑誌は看護職だけではなく地域医療・在宅医療に従事する医師も読者におられるということで、訪問看護制度や訪問看護ステーションの状況などを簡単にまとめた上で、訪問以外の看護ケアの提供の仕方や、医師との情報共有やACP、看護職の継続教育まで、トピックを示したものです。

各論では、訪問看護師と在宅医とが連携しながら進めた状況が掲載されていますので、ぜひぜひお読みください。

執筆の機会を頂いた編集者やあすか山訪問看護ステーションの田中道子所長にも感謝いたします。

今年の卒業研究が終了

本日、4年生の卒業研究の発表会が開催されました。

2月に配属が決まった後、実習をはさみながら6月と7月の週2ペースの定期的なゼミと8月以降は個別の指導を受けながら4年生が論文にまとめました。紆余曲折を経た学生もおりますが、島田先生が担当していた学生も含め、調査結果を適切にまとめられていたと思います。

今年のテーマは以下のとおりです。

  • 実習で新卒訪問看護師になれると感じた学生が就職先に病院を選択した理由
  • 在宅療養を行うがん終末期療養者の家族の予期悲嘆を支える訪問看護師の関わり
  • 医療的ケアが必要な子どもの在宅療養生活を支えるデイサービスにおける看護師の支援内容
  • 退院調整看護師により退院支援係を配置した病院の退院支援のしくみづくり(戸村ひかり助教と共同で指導)

今年は質的な研究ばかりになりました。調査にご協力いただいた皆さんには、明日以降学生がお礼と研究の報告に伺わせていただく日程等のご連絡を差し上げると思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。学生に学ぶ機会を与えて頂き、私からも感謝申し上げます。

ブログ表示の高速化

閲覧にあたり、表示が重い印象を受けたので、ネットの情報を参考に設定の変更やプラグインの選択をし直しました。

表示に不具合があるようでしたら、この投稿へのコメントやメールフォームからのご連絡をお願いします。ただ、こちらの機能に不具合があった場合には、どうにもなりませんね(笑)

第36回日本看護科学学会学術集会の備忘録

最近、全然このブログが更新できていません…もう少し情報発信しないと。

学会全体についての感想としては、予想以上に抄録集等のアプリが便利だったこと、不便だったのはポスターの会場間の移動がかなり多かったこと(予想はしていましたが)。

大会テーマが「政策に活かせる研究」みたいな感じだったのですが、大会長講演では、そこにどのように至るべきなのかというプランは看護研究センターを作るという点以外では、あまり示されなかったように思います。ただし、なかなか体験できない国レベルの政策決定に関与した経験を聞かせていただいた事はとても有意義でした。

政策決定に必要な研究となれば、高いエビデンスレベルの研究が必要となるようですが、看護の研究ではRCTは組みづらいし、僕もRCTをやったこともないので大層なことは言えませんが、そうであれば傾向スコアを使った研究であったり、大規模な研究や追跡研究の研究デザインの立て方みたいな部分で発表なり議論なりがあってもよかった感じがします。看保連から国に出している技術評価の基になる研究というのも一度ちゃんと調べてみよう。

また私は在宅看護のセッションの一つで座長をしていたのですが、東大の野口麻衣子さん達の発表は訪問看護師の就業継続意向と、同僚間の関係性を見たもので、やはり関係性が良いことが大事だということでした。この研究に関連して、以前も訪問看護師の職業ストレスの研究をどこかの先生がご発表になったときにも、思ったのですが、1施設で3名ぐらいが回答されていたようなので、所属施設を識別できるようであれば、マルチレベル分析をすると単に個人の回答だけではなく、施設ごとの関係性も変数として取り上げられるし、より正確な情報が得られるのかなと思いました。訪問看護ステーションのような施設による違いが大きい組織を対象とした量的研究では、標準的な研究デザインの選択肢になるとよいのかななどと座長をしながら思っていました。

公開データでGISとかしている私ですが、やっぱり研究デザインが大事だなと感じた学会でした。

第21回日本難病看護学会参加記

先日、北海道医療大学当別キャンパスで開催された第21回日本難病看護学会に私も参加してきました。札幌市内から少し離れたキャンパスであるにもかかわらず、2日間で400名を超える参加者があったとか。

例年、非常に密度の濃い学会であり、看護職の研究発表だけでなく難病の当事者である患者・家族の意見を聞ける場でもあり、また医師の講演で勉強できる機会にもなります。

個人的に興味深かったのは、北海道の恵庭市にある恵み野訪問看護ステーションの所長でNP資格をもつ樋口秋緒さんの発表「要介護度5の難病患者に対する在宅での特定行為の実施の効果」というポスターの演題でした。

要介護5のPDや後縦靭帯骨化症の在宅療養者3名について定期受診にかかる時間や費用、患者・介護者の負担等をNPによる特定行為(気切カニューレ交換、胃ろうカテーテル交換、膀胱瘻カテーテル交換)の前後でどのように変わったのかをまとめ、大幅な負担減に繋がるが、療報酬は減った。といった内容だったと理解しています。(雪の北海道で介護タクシーで受診する大変さは東京とは比較にならないでしょう。)

私から、都内では訪問診療で医師が回るような症例だと考えるが、勤務先では訪問診療ができる医師が少ない状況であるということか?「病院から報酬減になるからやめてくれ」とは言われませんでしたか?という質問をしたのですが、回答としては、こうした状況を踏まえて院内の話し合いが行われ、病院の医師が訪問診療をしてくれるようになったそうです。ではNPに意味が無いのかということではなく、緊急時の対応などで大きな貢献ができるだろうと思います。樋口さんの前向きな活動にとても共感できる発表でした。

その一方で、在宅での特定行為についてはこのようなNP教育を受けた方や医療機関(医師主導)で積極的に行動を起こそうとしている所を除くと、一般の訪問看護ステーションでは研修を受ける段階で躊躇していて、厚生労働省や看護協会が描いているような形にはなりえない様に思います。

今回の発表のような報酬の面での齟齬とでも言うべき部分を積極的に解消していくことが必要でしょう。

 

コメントスパム対策を修正

本ブログ記事にコメントが入力できないというご意見があり、自分でログインせずにコメントしても問題ないのですが、可能性としては、スパム対策として、簡単な問題を解くような設定があったので、これを外してみました。

あまりスパムが増えるようであれば、また対応を考えます。

訪問看護は危ないのか?

このところ神戸市看護大学の林千冬先生たちのグループの研究成果がネットニュースなどでも取り上げられています。(ちなみに林先生は学会などでお話することもある良き先輩です。)

訪問看護師の5割「利用者、家族から暴力受けた」 「抱きつかれた」セクハラ被害も 神戸市看護大が調査

この記事だけを読むと、なんだか訪問看護って怖そう・・・とかそういったイメージを持たれてしまうかもしれません。

なかなか得られにくいデータなので、貴重な成果であることは間違いありません。今回の調査方法がはっきりわかりませんが、どうしても「これまでの経験」という聞き方すると毎日のようにセクハラを受けている人も「10年訪問してきて1回あったなあ」という人もまとめて「経験あり」になってしまうので、50%という数字をどう解釈するかという点が一つあります。頻度がどの程度なのかもわかると良いなあと思いました。

では病院は安全なのかというと、病院でも医師や看護師に対する暴力というものは残念ながら少なくはありません。意図的なものも、妄想やせん妄状態で意図的とは言えないような状態でのものも含め、それなり数があることが報告されています。ただ在宅は密室のなかでのサービス提供となるので、セクハラを含めた暴力行為の状況を確認したり、止められる人が他にいないという点で特徴があります。

報道ではなかなか触れてくれませんが、普段から当然のように、看護管理者にとっては対象者だけでなく、職員の安全も大事な関心事です。たとえば、必要があれば複数名で訪問をすることが報酬の中でも認められていますし、条件を満たさない場合には管理職が同行訪問したりといった形で対応していることは多いと思います。またセコムの訪問看護ステーションさんでは、携帯のボタンを押すと、セコムの警備員が急行してくれる体制を整えているとも伺ったことがあります。

報道の皆さんには、こうした取り組みにも目を向けてもらえると良いと思います。