厚生労働科学研究費の公募


平成27年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(二次)|厚生労働省. が公開されています。

このうち、健康安全確保総合研究分野 1.地域医療基盤開発推進研究事業 (1)地域医療基盤開発推進研究事業
の公募研究では在宅看護の研究者向けと思われるものがあります。

2-3.公募研究課題
 (1)研究課題名 臨地実習における教育体制のあり方に関する研究(27141401)
 (2)目標
  本研究では、療養の場の広がりに伴い多様化する実習施設において、病院のみでなく地域の小規模施設も含めた実習施設における実習指導者の実習指導能力育成のための研修のあり方や、看護師等養成所の教員と実習施設の実習指導者の連携の方法等を検討し、臨地実習の実習体制の整備に資する研究を推進する。
 (3)求められる成果・看護師等学生の実践能力向上のため、臨地実習の教育体制について検討を行う際の基礎資料。
 (4)研究費の規模等※
  研究費の規模:1課題当たり年間4000~6000千円程度※(間接経費を含む)
  研究実施予定期間:最長1年間 平成27年度~平成28年度
  新規採択課題予定数:1課題程度※
  ※研究費の規模等はおおよその目安となります。研究費の規模及び新規採択課題予定数等については、今後の予算成立の状況等により変動することがあります。
 (5)採択条件(( )内は条件を満たしていることを示す書類等)
  ・看護師等養成所における臨地実習に精通する専門家の意見が反映される体制が整備されていること

地下鉄サリン事件から20年


20年前の私は大学3年生でした。

1月に阪神の震災があり、看護資格をもつ編入生の有志の皆さんは春休みを利用して実際に支援に行ったりしていました。
僕はこの日はアルバイトで訪問していた障害のあるお子さんの通学支援のために愛育養護学校のある広尾で待ち合せのために通学時間よりは少し遅れて東横線に乗りました。
普段なら中目黒から日比谷線に乗りかえるわけですが、事件が起きた後で(その時は理由はわかりませんでしたが)地下鉄はすべて止まっていて、とりあえず渋谷に出てバスで日赤医療センターに行き、広尾駅に向かったところで、クライアントと待ち合わせができず、連絡を取ったところ急病で通学は取りやめになったということでした。
午後は大学で山崎先生の研究のお手伝いをする予定だったので、東大に向かおうと思いましたが広尾駅には状況を理解できない外国人が不安といら立ちで集まっていました。駅員さんに尋ねたところ、何かの爆発があったみたいということ、当面動きそうにないということだったので、拙い英語で外国人たちにそのことを伝えてから渋谷駅に戻り東大に向かいました。

東大に入学するときには自分自身が医療職になろうとは全く思っていなかった私にとって医療職への階段を歩み始めていた時期に、こんなに簡単に人が亡くなってしまう出来事が二つも続いて、少し心がぐらついたことも事実ですが、編入生の活動を見ていて、今の自分にはできない、たとえ小さい力でも確実に何かを変えられる人たちであることを尊敬できたし、懸命に人を助けようとする人たちの姿を見て臨床に出てみようという気持ちを強くした出来事だったと思います。

明日卒業する卒業生の皆さんには、入学式が開けなかった4年前の震災とその後がどのように映っているのでしょう。この4年間の学修のなかで何か心を打つものがあったでしょうか。
勝俣先生がお書きになられている状況からも、大きな事件、震災はその時だけではなく、その人の一生の中に残ることだと思います。残念ながら看護職はそのすべての期間に寄り添うことはできません。だからこそ、患者さんに出会えたそのタイミングに「もっとずっといてほしい」と思っていただけるように、自分のベストの看護が提供できるよう日々の研鑽を忘れずにいてほしいと思います。
ちょっと早いけれど、私からの手向けの言葉ということで。
(Facebookへの投稿を移しました)

参考:僕はサリンサバイバー:腫瘍内科医 勝俣範之のブログ

文部科学省の新設大学等への監査


文部科学省から新設大学がその後きちんと運営されているのかや、法人の規定が改訂された大学の問題点についてのチェック内容が公表されています。

新設の大学で情報が少ないと感じておられる受験生の保護者の方は、大学とは違う第三者の指摘も参考にして大学に尋ねてみるというのもよいかと思います。
もちろん大学側にも事情があり、「負債が多い」といった指摘には病院の建物を建て替えや設備投資の後で受験生にはメリットが高い場合も考えられます。

一般に看護系の大学では、「是正意見」という強い意見がついているものが他の系よりも多く見られ、「教員が定着しない」「不適格な教員がいる」(明日は我が身?)といった深刻な指摘も散見されています。新設大学よりも、それらの大学に教員を引き抜かれた中堅どころの大学が大変という話を耳にしていましたが、新設大学でさえ大変になってきているのが現状なのですね。
先日の看護系大学協議会の総会でも、大学院でのNPコースの話が出てきた一方で、文科省の担当者からは基礎教育の質の低下(正確にはばらつきでしょうか)が指摘されていたと伺っています。
全体の話はともかく私も在宅看護の部分で教育の質保証につながるような活動は続けていきたいと思います。

参考:講義は中学レベル、入試は「同意」で合格 文科省がダメ出しした“仰天大学”とは? (withnews) – Yahoo!ニュース.

高齢者マンションでの拘束


北区で高齢者向けマンションにおいて高齢者を拘束していた問題で、北区から運営法人に対して改善の指導が入りました。

現状では、こうした入居形態についての指導は法的根拠がないので、訪問を行っていた訪問介護事業所と居宅介護支援事業所(ケアマネ)に対しての指導ということになるのだと思います。
拘束は医師の指示があったということですが、私が知る限り訪問介護やケアプランにおいて、医師が指示をするということは喀痰吸引等を行う場合以外ではなく、あくまでも医師が意見を示しケアマネや介護職が自律的に判断するものだと理解しています。(違うかな?)

追記:最終的に身体拘束を行う場合には医師の指示が必要となるのは当然なのですが、その前のどのようにケアプランを立て、介護計画を立てるのかという時点での話です。

今回の場合は、指示をした医師と運営する法人が同じであったため、処分が容易であったと思われますが、担当していた医師が別法人であった場合の責任の所在などはなかなか危うい感じがします。

高齢者の居場所の問題と介護職の確保の問題が解決しないと、こうした現状を提供側も受給側も甘受しなければいけないということになります。先日、中学生相手に「高齢社会の問題は僕らの世代で何とかしたい」と話してきたのですが、もちろん私一人で解決できることではなく、「私の老後をどうすごしたいか?」を自分目線で考えてもらう必要があります。

ソース:高齢者マンションで虐待:中日新聞

訪問看護に関する介護報酬の改定案


第119回社会保障審議会介護給付費分科会資料が公開されました。
主な改正点は3か所

基本報酬について

訪問看護ステーションでは若干の減算となり

時間数 改定前 改定後
20分未満 318単位 310単位
30分未満 474単位 463単位
30分以上1時間未満 834単位 814単位
1時間以上1時間30分未満 1144単位 1117単位

病院・診療所からの場合は、逆に増額となり

時間数 改定前 改定後
20分未満 256単位 262単位
30分未満 383単位 392単位
30分以上1時間未満 553単位 567単位
1時間以上1時間30分未満 815単位 835単位

病院からの報酬の増額については、病院・診療所からの訪問看護の供給を促すということですが、この程度の変化でどの程度供給量が増えるのかを見守りたいと思います。

中重度の要介護者の在宅生活の支援の評価

看護体制強化加算 300単位/月を新設。この算定要件は

  1. 算定日が属する月の前3月において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、緊急時訪問看護加算を算定した利用者の占める割合が100分の50以上であること。
  2. 算定日が属する月の前3月において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、特別管理加算を算定した利用者の占める割合が100分の30以上であること。
  3. 算定日が属する月の前12月において、指定訪問看護事業所におけるターミナルケア加算を算定した利用者が1名以上であること(介護予防を除く)。

訪問看護ステーションからのリハ職の訪問の見直し

時間数 改定前 改定後
1単位 318単位 302単位

訪問リハビリ事業所からの訪問リハと類似した実態にあるということでの減算のようですが、訪問リハ事業所とどの程度地域的に重複があるのか、調べてみたいですね。

ケアプランは共有できてこそ


在宅看護の実習指導を毎年行っていて、同じようなことを何度も説明することは厭わないのですが、現状が改善しないことにはモヤモヤした感じがするのです。

訪問看護は介護保険のサービスとして提供される場合には、ケアマネージャーが作成するケアプランに位置付けられ、事業所にも送付されてきます。

しかし、介護保険サービスの利用者でもいくつかの疾患や状態に該当する場合には医療保険から給付されます。ケアプランの「サービス内容」の記載には、介護保険サービス以外の制度のサービスや家族などによるインフォーマルなサポートも含めて、「全体として、どのようなサービス体制が組まれているのかを明らかにすることが重要である。」(介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について 別紙1)となっているので、医療保険からサービス提供される場合でもケアプランに記載されている場合が多いのですが、訪問看護ステーションにケアプランが送付されてこないケースがたいへん目立ちます。

現行では、利用者と介護保険サービスの事業者については遅滞なく送付することになっていますが、他の制度の事業所に対しては義務と明記されていません。しかし、こうしたケースでは多くのサービス・事業所が導入されているケースが大半を占めます。せっかく作成した自分のケアプランは紙の上に書かれているだけでは意味がなく、共有されてこそ活用されるでしょうし、利用者さんのメリットとなるはずです。

4月の介護報酬の改定では報酬の引き下げばかりがクローズアップされていますが、こうした問題や介護予防事業の部分など内容面でも注目していく必要があると思います。
基礎から学べる「ケアマネジメント実践力」養成ワークブック

「論」を「学」にする


金曜日が年内の勤務の最終日でしたが、私は在宅看護についての話し合いのために都内の某大学まで出張してきました。

何のための話し合いかというと、看護職の養成カリキュラムの基準となっている「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」という厚労省の省令の中では、在宅看護に関する教育は「在宅看護論」となっているのですが、これを「在宅看護学」という名称に変更できないのかなというお話でした。

学問の世界は自由なものなので、〇〇学会とか、〇〇学という名称を勝手につけて標榜していても特に問題になるということではありませんが、広く認知されるには、学問的に体系化されているかどうかとか、その分野を担う研究者が一定程度いて、研究活動が実質的に行われているのかどうかといったことが要件となると思われます。

「在宅看護論」がカリキュラムに加わったのは1996年の改正の際で、介護保険法の施行を見越してという時代背景がありました。その頃は確かに上に書いたような要件は満たしていなかったから「論」になったのだと思われます。現状はずいぶん研究者も増え、在宅看護専門看護師も誕生し、日本在宅看護学会も創設され、研究論文も増えている状況なので、それなりの立場の先生が声を上げれば、カリキュラム自体の変更はなされるのではないかという気もするのですが、皆さん真面目なので、この際にこれまでの研究成果の整理や、ほかの看護領域との違いを明確化したいというお話しだったので、今後は在宅看護の体系化を図ることを目的としていくことになりました。

続きを読む

学会とお金の話


学会の理事とか大会の運営サイドの視点で、やはり気になるのはお金のことです。

おカネがかかるかどうかは、さまざまな作業をどの程度専門業者に委託するかどうかにかかってきます。昨年、某学会の編集委員長をしていた際に、どうにも仕事が処理しきれなくなり学会誌の発行が遅れてしまい、ご迷惑をおかけしたのですが、このあたりも様々な作業を委託していれば、あんなことにはならなかったのかもしれません。

大会への演題申し込みというのは、会員になってもらうよい機会ですが、今回担当する保健医療社会学会は入会金1000円と来年度の年会費8000円、参加費5000円で計14000円かかります。今年の夏にあった某学会に演題登録するときには、入会金5000円に年会費が今年度分と来年度分で計20000円、参加費10000円で35000円でした。(大学の研究費で一部支給されるとはいえ、さすがに高いなと思いました。)

職を得ている者には、それほど問題にならないのかもしれませんが、若い大学院生を呼び込むには、お金がかかるのは障壁になります。看護系は大学が増えているので、あまり問題にならないのかもしれませんが、社会学系の若手研究者には切実な問題なので、なるべく安く、でもあまり役員等の負担が大きくならないような工夫を心掛けています。

非がん患者の緩和ケアとACP


週末の在宅ケア学会もつかの間、月曜日からの実習指導が始まりました。月曜日は病院での実習指導、大学に戻ってからの卒論の指導を経て、夕方からは大学院のCNSコース向けに、本学の近隣にある梶原診療所の平原 佐斗司先生に非がん患者の緩和ケアについて講義をしていただきました。

がん患者の緩和ケアとの対比も加えながら、疾患別の特徴などをお話しいただき、最終的にはAdvanced Care Planninng を進めていく上での医師や看護師の役割などについて話し合いました。

2名いる院生のうち1名が忌引きのため、院生にとっては先生との贅沢なマンツーマン講義となりました。講義の充実ぶりを考えると、来年から他の領域の院生や教員も参加できるような形にできないか検討してみようと思います。

チャレンジ! 非がん疾患の緩和ケア (在宅医療の技とこころ)

今日の在宅看護CNSの講義


博士前期課程の在宅看護CNSコースの講義をしてきました。

今日のテーマは、「ケアマネジメント」と「訪問看護ステーションの経営と在宅看護政策」についての講義でした。

院生さんは二人とも、介護保険のケアマネジャーでもあるので、前半のケアマネジメントについては教えることもないって感じですが、そもそもケアマネジメントの理念がなんであったのか、ケアマネジャーの現状はどうなのか、何が不足しているのかなど、議論中心の講義の展開でした。

後半のステーションの経営と在宅看護政策についても、所長と事業所の新規立ち上げをしたばかりのお二人には、細かな話をしても仕方がないので、平成21年の報酬改定から訪問看護支援事業の成果のあたりを概説し、「なぜ(小規模では採算が合わないのがわかっているのに)立ち上げ当時から10人程度のステーションを意識した制度設計をしなかったのか?」とか、制度はできたもの運用面で普及しているとは言えない「看護師による居宅療養管理指導」や「療養通所介護」「複合型サービス」について議論しました。

また、CNSには地域全体を見通して考える力を求めているので、GISを使った近隣地域のサービスを含めたニーズの把握の方法や街づくりや防災といった点からも議論をしました。

本来は生活モデルを意識するはずの地域包括ケアの推進の動きの中で、「地域の病院化 道は病院の廊下で…」みたいな過度にMedicalizationされた文言が出てくるのか、今度、猪飼周平さんにも伺ってみたいと思います。病床数が減らされるからと言って病院の医療や看護をそのまま在宅に持ち込んでくることが、療養者にとって迷惑なのかどうかは分からないけど、療養者の評価をないがしろにはしてほしくないものです。