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「精神科訪問看護」に目を通してみた

以前、学部の講義の際に以前に購入した精神看護エクスペール 8 (8) 精神科訪問看護の内容は良いものの、精神障害者を取り巻く制度がこの数年大幅に変更されたこともあり、そのあたりをまとめてくれた新しい物が出ないかなと思っていました。

5月に刊行された精神科訪問看護は、もう少し入門的な本の装丁と内容ですが、私が知りたかった制度改定のあたりは、最初にまとめられているほか、症状の対応や事例などが豊富に掲載されており、実習で精神障害者の方に訪問する学生や、新たに精神科訪問看護に従事する訪問看護師には、訪問のハードルをかなり下げてくれるのではないかと思います。

これを読んで、私も8月に精神科訪問看護の研修を受けてきたいと思います。

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CNS看護学会参加記

13日に開催された第2回日本CNS看護学会に初参加してきました。

中身がどんなものなのか、よくわからないまま参加しましたが、会長講演や基調講演など含めてCNSの領域でも地域包括ケアを意識した内容になっているということ、つまり専門病院で、複雑な医療から引き出された複雑な看護上の問題に対応するCNSの活動とは別に、地域で各分野のCNSが活動することが意識化されていたところは非常に印象に残りました。

僕が関心を持ったのは小児看護CNSの方のNICU児の退院支援に向けた活動で、退院支援の標準化・質の保証絡みでの院内の仕組みの改善や地域へのアウトリーチもあったりして、CNSの質の高い活動がとても良く伝わるものでした。

あとは、CNSに会おう!とか、CNS養成の大学院の紹介コーナーもあったりして、色々な方にお会いすることができました。たまたまいらした家族支援CNSの方にはCNS認定後の能力形成について懇談ができ、家族看護学会の事例検討がとても勉強になっているというお話しだったので、やはり在宅看護についてもそういう場が必要かな?

あと現在上智大におられる渡邊知映さんにも、久しぶりにお会いしました。講演のテーマがCNS活動の質の評価・診療報酬につなげる内容だったのですが、個々のCNSの自分の活動の意識化が第一歩という話には納得しつつも、やはり大規模なデータベースでも作らないとなかなか難しいのではないかといった話をしているうちに次のセッションの時間になってしまいました。

学会については、会場が縦に分散していたので、移動が大変だったということと、一部の演題発表の会場が狭く、かつ企業展示と一緒だったりしたので、その辺は改善の余地があるような感じでしたが、色々普段見られないものを見る、会えない人にお会いできたという点ではサバティカル的にも参加してよかったように思います。

首都圏の高齢化問題と高齢者の転出

日本創生会議の外国人介護職の受け入れと首都圏の高齢者の地方への転出などを中心とした提言が話題になっています。
http://www.policycouncil.jp/
 
自分の描いている将来像とは全然違うのですが、こうした議論はある観点からは出てくるだろうと思っていました。実は5月の4年生の実習の時に同様の観点から学生と議論していたのは、もっと過激かもしれないものでした。
 
突き詰めた話、コミュニケーションがほとんど取れない寝たきりの高齢者の方には、フィリピンの元クラーク空軍基地があった空港(が思いつきましたが)の敷地内に高齢者施設を作って、温暖な気候で、日本と同レベルの教育や研修を受けたフィリピン人の介護職員にケアを提供してもらう。日本と同レベルかやや低いぐらいの賃金をキープして、文化的に異なる日本への長期滞在と言葉に関するストレスを考えれば、介護職員の定着率もよいはず。また空港の敷地内までであれば、首都圏在住の家族がパスポートなしでも渡航できるぐらいの扱いにしてもらえれば、きっと茨城空港の活用度も高まるし、国内の地方都市に転出するよりも便利かもしれない。
ドラマの影響でドクターヘリにのるフライトナースが人気になったけれども、10年後のフライトナースは高齢者を外国に安全に届けるお仕事になっているかもしれない。
といったものでした。繰り返しますが、もちろん私はこうなってほしいわけではありません。現場の方には不愉快に感じる方もおられかもしれません。でも、こんな極端なことを考えてみると、私たちの看護に何が大切で、療養者さんのニーズって何なのか、見えてくるものもあり、やみくもに否定するばかりでは先も見えないのです。。

専門看護師:資料室のページを更新

専門看護師:資料室 のページに、今年度から在宅看護CNSの養成課程として認定された日本赤十字看護大学大学院を追加しました。

これで、在宅看護CNSの養成課程を持つ大学院は11カ所になりました。がん看護の71カ所には遠く及びませんが、家族支援の6か所、地域看護の7カ所を上回っている現状です。但し、教員の異動により実際に養成が行われているかどうかというのは別の問題ですので、受験を希望する方は確認をしたほうが良いと思います。

 

 

 

在宅看護学は何を教える学なのか

自分が大学院で受けた特論(講義)は、その領域の主要なトピックとその研究デザインor多変量解析の手法を15回の講義でかなり網羅的に学ぶことができるものでした。別途行われていたゼミでの抄読会で院生が提示した新しい論文なども参考にしながら、先生が毎年数本論文を入れ替えておられたが、抄読会の中でも各トピックごとにそれなりの研究の量があり、ゼミの参加者が20名もいれば、「こういうのもありましたよ」という話が結構出てきたものです。

昨夜も講義がありましたが、いざ、在宅看護学で何を教えるのかというと例年、結構悩みます。受講生が2人と少ないこと(1名の場合もあります)、かつ年齢や臨床経験年数、基礎学力もそれなりに違うということが1点。そしてCNSコースの受講者もおり、臨床での具体的な内容や政策よりの内容とするのか、これまでの研究成果を中心に講義をまとめていくのがよいのかが2点目。これらは教育を受ける側が多様であるということに起因していますが、3点目は、教授すべき学問領域の全体像が必ずしも明確でないことです。在宅看護学(もしくは在宅看護の臨床)の対象や方法、用語の定義、いずれもが国内でも相応に報告はされているものの、特に後者の2つは体系的に整理されていない部分がかなり残っています。(精神の在宅については、個人的に確認もできていない…)

最後に世界での報告との比較がなかなか難しい。看護師が自宅に訪問して緩和ケアに取り組むという行為は日本でも、米国でも行われていることは事実なのですが、研究としてみると関わっている職種や仕組み、文化は全然異なるので、アウトカムの厳密な比較は難しいし、疑問点は幾つも出てきます。

講義をしている側が何でも知っているというのは幻想ですが、3点目まではサバティカルの間に論文を書きながら、他の先生と意見交換しながら質を上げていきたいと思っています。最後の課題についてはもっと海外に出ていった方が早いのかもしれませんが、今回は外国の文献を読み漁って気になるところを明確化することはしてみたいと思っています。