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第5回日本在宅看護学会学術集会に参加

久しぶりにブログを更新します。聖路加国際大学の山田雅子先生が大会長を務められた日本在宅看護学会で発表等々をしてきました。

正確な数は把握していませんが、大変多くの参加者が来場され、午前中に開催した在宅看護論実習についての交流集会は参加者が30名程度という話で準備を進めていたものの、会場への入場が可能となった開始15分前には私たちと一緒に参加者の方で席が埋まる状況で、開始時までに若干席を追加しても立ち見の方も大勢となってしまいました。

これでは交流のためのグループワークができないので、メンバーの先生が気を効かせて、プログラムが終了した別の部屋を確保してくださり誘導してくださったので、グループワーク時には写真のように少し余裕のある状況で対話をしていただくことができました。(感謝!)

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在宅看護の実習については、もちろん各教育機関ごとに創意工夫をしておられると思いますが、学校や地域毎の事情や制約もあり、もっと良い方法がないのかと関心をお持ちの方が多いことがよくわかりました。カリキュラム改正を見越して、色々提言やモデルの提示などに取り組むことになると思いますが、会員向けのこうしたイベントは継続して行く必要があると感じました。

この交流集会では、先日発行されたコミュニティケア臨時増刊号「訪問看護師・教員・学生すべてが成長できる“在宅看護”実習―“看護の本質”を体験できる!」 の一部も紹介したのですが、会場内の書店では売り切れになってしまったとのことで、こちらも想定以上だったようです。

また最後にはシンポジウムに来られていた地域看護CNSの馬庭恭子さんにご挨拶することができました。馬庭さんにはCNSコースの開設の際に東京都の大学としてどのような特徴を出していくべきかについて広島に伺ってアドバイスをいただきました。10年が経過し延長申請をするに至ったこと、修了生が在宅看護CNSとして活躍し始めていることへのお礼を申し上げることができました。

午前中の萱間先生の精神科訪問看護についての講演は内容もさることながら、研究者としてのあるべき姿勢を問われたような気がして、率直に「自分も頑張ろう」と思えました。午後はポスター発表や演題発表の座長などがあり、関心のあった他の発表やシンポジウムなどは拝見することができず、とても残念でしたが、山田先生ならびにスタッフの皆さんの尽力にも支えられ活気にあふれたよい学会でした。

精神科訪問看護算定要件の研修会の参加記

これも備忘録的な投稿です。

8月に精神科訪問看護の基本療養費の算定要件を満たすのに必要な知識を身につけるための研修に参加してきました。

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別に大学をクビになった時の働き口を確保しておこうと参加したわけではありません。 😀

本学では精神科訪問看護について、在宅看護学演習という科目の中で45分ほど取り上げています。(報酬や制度面については、他の制度と併せて別の授業で取り上げています)不十分とは言えないまでも、十分な授業ができていると自信をもっては言いづらいので、他者であれば精神障害者の支援をどのように説明をするのかを聞いてみることや、やはり非定型抗精神病薬やSNRIとか、自分が学生時にはなかったり、まだ使われていなかった薬品も多く出て来ているので、教科書的なというよりは、臨床的な感覚(厳密には感覚は臨床に出ないとわからないですが、ヒントみたいなもの)を身につけたいなと思って参加しました。

3日間の研修でしたが、全体の構成は良いと思いました。ただ精神科リハの話はゴミ屋敷の話などで、あまり「作業」って感じではなく(「作業」とは何かという議論になってしまいますが)これがOTの典型的な活動かといわれると若干違うような気もしましたが、その辺は学内にもOTの先生がおられ、知る機会もあると思うので、私としてはまあいいのかなと…。

実はこの研修には看護師・准看護師だけでなく、OTの参加者も結構いらしたようです。だからOTの先生の講演が入るのでしょうけど、個人的にはPSWの具体的な活動も知りたかったかな。

あとは、薬品の名前が結構どんどん講師の先生方から飛び出してくるので、慣れてないと、何のことだかわからなくなります。配布テキストにも主要なものは掲載されているのですが、少しアレンジした処方の話などだと不足するので、来年受講する方はスマホで補うか、以前紹介した精神科訪問看護 (Q&Aと事例でわかる訪問看護)などを手元に置いておくとよいかと思います。

会場は350人ぐらい参加者がいて、大盛況でした。

 

 

GISトレーニング参加記

ほとんどの看護の研究者には関係がなさそうな投稿ですが、5日間GISのトレーニングを受けて、何が変わったのかを備忘録としてまとめておきます。(たぶん同じような経験をする人がいると思うので、公開しておきます)

今回はESRI社のArcGIS for Desktopのトレーニングを受けてきました。このソフト自体は本学ではサイトライセンスで使用することができ、2年ぐらい前から扱ってはみたものの、「使い勝手が悪い」と思っていて、実際以前の論文では、埼玉大学の谷謙二先生が作られたフリーウェアのMANDARAを使い機能的には十分でした。

ただ個人的にはMANDARAは扱うデータ項目が多くなると、エラーが出てデータが使えなくなることを2回経験していて、最初からやり直す(それほど面倒ではありませんが)ことがあり、少し信頼性の面での懸念も持っています。

一方で、こうした「使い勝手の悪さ」や「信頼性への懸念」は、ソフトの問題であるのか、ユーザ自身の能力・技能の問題であるのかというと、正直、後者かなと思っていました。特にArcGISはとても高機能ですが、操作できる項目が数え切れないほどあり、「習うより慣れろ」といってもどこから慣れていけばよいのかと思う人は少なくないはずで、看護界や自分のキャンパスの中では相談できる人も多くない。そういうことで今回改めて一から勉強してみようと思いました。

基本的なこととして、分析用のPCのスペックも、今回のトレーニング用のノートPCでもメモリは16GBあって、8GBだった分析に使っている大学のPCも途中で16GB追加して24GBにしたら処理が結構早くなりました。

それからライセンスの関係で、基本的には学内のライセンスサーバに接続しないと使えないのですが、ライセンスの借用方法というのを教えてもらったので、出張中にネット環境がなくても使えるようになりました。

こういうことって、問い合わせするほど困っているわけでもないけど、専門書や論文を読んでも書いてないですからね。

ArcGIS自体の操作については、地図のシェープファイルとデータを結合させて使うことは知っていましたが、その結合した状態でエクスポートして使う方が後で使い勝手がよいとか、似たようなツールがあるけど、それぞれの特徴があるとか、既知のばらばらの情報がつながるとこんなに有効に使えるのかと実感しました。

それから、model builderというマクロのような操作方法もあり、共分散構造分析のような図を書いて順序を指定することで、一気にいくつかの、もしくは元のデータを交換しながら複数処理していく方法は知らなかったので、これは役に立つと思います。

ArcGISを使うメリットとしては、データベース機能の充実かと思います。SQLとか馴染みがないと、厄介なのかもしれませんが、すでにあるデータを計算して新しい項目を作ったり、必要なところだけを抽出したりといった部分は、基本的にEXCELなど別のソフトで計算してから読み込んでいたMANDARAよりも便利かなと思います。ただ、使えるツールが400もあるといわれると…50くらいしか使えていないので、まだまだ勉強が必要です。

この手の分析では、得られるデータの質や修正も大事です。例えば、国が公開しているデータだと足立区の河川敷も特定の番地に含まれているので、その番地の情報が地図上でとても広く表示され、誤解を招きやすくなります。行政区画としては正しいのでしょうが、分析の目的上適切でなければ、データや地図を変更したりする必要もあります。こうした準備に結構時間がかかります。今こうしたデータの収集や整理しているところです。週末にまとめられたら来週から復習もかねて分析しようと思います。

10月には三田の慶応大学で地理情報システム学会もあるようなので、見てこようかと。

「食といのち」を読む

妻の紹介で辰巳芳子氏の「食といのち」を読んだ。

辰巳氏は料理研究家で、私はあまり存じ上げなかったが、本書の中では看護師の川嶋みどりさんや小児科医の細谷亮太さんと「いのち」に関わる食事の話が対談形式で書かれている。

今年のオープンキャンパスで学科長が看護とは?を参加者に解説されていたが、一般的に看護と介護の違いがよく分からないという話をよく耳にする。学科長の説明もそうであったが私はこの場合、似ているものの違いを殊更に強調することよりも、看護師はこういう風に物事を捉えて実施しているということの方が大切なのではないかと思う。

その点で本書では川嶋先生は食事を栄養素の話ではなく、「食」として、また「生きる糧」として看護がどのように考えているのかをわかりやすく示している。川嶋先生以外の対談もだが、平易な書き方になっているので、高校生や一般の方々にも読んでいただきたい本だった。

看護とコミュニケーション

サバティカルに入って研究活動は色々進んでいますが、学生と関わることや高校生向けの説明活動などもしていないので、ちょっと寂しさも感じている今日この頃です。

看護の世界でコミュニケーションはとても大事です。私はコミュニケーション上手でもないし、あまり好きでもない方だと自覚して、学生に授業をしています。

専門的な内容についての質問に答えることは学生さんでも結構上手です(勉強をちゃんとしていれば…の話ですが)。例年、ロールプレイなどを見ていて個人差が大きいと思うのは、患者さんから漠然とした不安を投げかけられた時の対応です。

「手術が不安」という話が出ると、普通の研修医は「手術をすれば症状が良くなりますよ」といった説明をします。これも悪くはないですが、私の授業では学生には話を聞く技術を上手につかって最終的には相手の「気持ち」「感情」を引き出すこと、そして臨床に出て忙しくなっても、そのタイミングだけは逃さずに時間を作ることの2つを強調しているつもりです。

最悪なのは「全くそんなことはありません。それは間違いです。」と全否定してしまって、不安が生じる理由や背景を内面に封じてしまうことです。看護の世界では対象者との信頼関係が損なわれるので、そんな学生には単位は与えられませんが、政治の世界では、とにかく自説を説けば他者の不安が解消すると思われているようです。学生でも取り組んでいることなのに、どうしてそうなるのか、私には理解できません。