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NotebookLMの実習指導での試用体験

最近話題のAIですが、教育活動にも活動できないかとちょっと試しています。

今回、使用するのはGoogle  NotebookLM の無料サービスです。こちらは教育・研究活動にfitしたAIと言われていますが、今回は基礎的な利用方法として、使用する資料を登録し、その内容に基づいて、チャット形式で実習指導のヒントを得られることを目的に作成してみました。

その理由の一つには、学生は2年生、3年生と在宅看護の授業を受けてきており、4年生での実習までの学修内容に齟齬がないか確認したいと思ったこと。2つ目の理由としては、実習指導にご協力いただく実習指導助手の方たちは単年度の契約で、これまでの教育の流れを見て、把握したうえで実習指導をしていただくことはできませんので、Google アカウントを持っておられればサービスを共有できるので、活用していただくことにしました。

まずは、リソースとして、実習要項、実習施設のオリエンテーション資料、そして、2年生、3年生の在宅看護各15回のうち講義形式で行った授業資料をそれぞれPDFにしたものをアップしました。

そのうえで、チャットのタブから、

在宅看護実習における実習要項のファイルと施設別オリ資料のファイルの間で内容に齟齬がないかを確認し、齟齬があれば教えて下さい。

と入力して30秒ぐらい経過すると、以下のような文章が提示されます。「結論として、両資料間で直接的な内容の齟齬は見られませんでした。」ということでしたので、確認できて良かったです。

提供された「2025老年・在宅看護学実習_実習要項_20250410.pdf」(以下「実習要項」)と「施設別オリ資料_2025.pdf」(以下「施設別資料」)の間で、在宅看護学実習の内容について齟齬がないかを確認しました。

結論として、両資料間で直接的な内容の齟齬は見られませんでした。

「実習要項」は、在宅看護学領域の実習全体の概要、到達目標、実習内容、記録方法、留意事項、評価方法など、実習全体に共通する基本的な方針や要件を示しています

一方、「施設別資料」は、各実習施設におけるより具体的な集合時間、服装、持ち物、実習中の行動に関する詳細な指示、カルテの閲覧方法、記録の提出方法、事前の準備事項などを示しています

「実習要項」の中で、「実習施設により、実習時の服装の指定が異なる」、「実習施設により持ち物が異なるため、施設別オリエンテーション資料を確認し、準備すること」、「実習施設が多いため、教員が引率できない場合が多い。各自で集合場所や時間を確認の上、遅れないよう集合する」、「実習施設によりスケジュールが異なる」 といった記述があり、施設ごとに詳細が異なる可能性があることが明記されています。

「施設別資料」は、まさにこの実習要項の指示に基づき、各施設での具体的なルールや手順を提供しているものと言えます。

例えば、以下のような点で施設ごとの詳細が示されており、これらは実習要項の方針と矛盾するものではありません。服装・身だしなみ: 実習要項では施設による指定がある旨を記載。施設別資料では、各施設でポロシャツやチノパンなどの具体的な服装指定があります持ち物: 実習要項では施設により異なり、オリエンテーション資料で確認するよう指示。施設別資料では、各施設で必要となる具体的な物品リスト(実習要項に記載されている基本的な訪問バッグの中身 に加え、施設内で使用するものや天候に応じたものなど)が示されています。血圧計や体温計などの物品を施設や大学から借りられる場合があることも施設別資料で具体的に分かります実習記録の提出方法: 実習要項では手渡しまたは指定の方法で提出するよう指示。施設別資料では、「日々の記録(様式2)」を翌朝提出する、あるいは翌朝確認してもらう、所定のファイルに入れる といった具体的な方法が示されています。また、様式2は手書きであるという要項の指示 に沿って、「日々の記録(様式2)」は手書きで記載、と明記している施設別資料もありますカルテ閲覧方法: 実習要項には具体的な方法は記載されていません。施設別資料では、電子カルテか紙カルテか、閲覧方法(声をかける、貸与されるPCやタブレットを使用する、閲覧場所、制限など)が各施設で具体的に説明されています

・誓約書の提出: 実習要項では実習施設で必要な場合のみ提出するよう指示。施設別資料では、コピーが必要か、提出が必要かどうかが各施設で具体的に示されています事前課題: 実習要項では「事前学修・事前課題」の項目があります。施設別資料では、特定の施設で具体的に調べてくるべきテーマが指示されています

これらの点は、実習要項の一般的な指示を、各施設の実情に合わせて具体化したものであり、齟齬ではなく、詳細な補足情報として機能しています。

したがって、提供された資料を確認した限りでは、実習要項と施設別オリ資料の間で内容の齟齬は認められず、施設別資料は実習要項の指示をより具体的にするためのものと理解できます。

この他にも、NootbookLMでは、資料の要約、小テスト、FAQの作成などの機能もあります。もちろん、確認は必要で、今回の講義資料は、私以外の教員が作成した資料も含まれていますが、ベースはこの授業のために作成した資料のみで外部のデータが含まれていませんし、根拠となる引用したソースも明示されるので、確認作業も容易で、研究・教育に適したAIという評判を実感できました。

次は、講義内容を踏まえた実習指導について、触れたいと思います。

改めて木下康仁先生を偲ぶ

木下康仁先生のご逝去から1年、そのご功績が雑誌「看護研究」に特集として取り上げられています

私個人も日本保健医療社会学会の理事を務めていた時に木下先生にお世話になりました。
思い出に残っているエピソードの1つ目は、園田賞という園田恭一先生のお名前を冠した論文賞の選考の時です。私も委員として10行ほど選考理由を用意して臨んで、一応、ご了解をいただける内容ではあったと思いますが、木下先生は私の3倍ぐらいの量を用意されていて論文に対する過不足のない的確な批評と賞賛はもちろんのこと、多彩な言い回しなども含めて、そのまま、論文集に掲載したほうが良いと思うほどの内容でした。質的研究者の分析力と表現力の豊かさを垣間見る機会でした。
2つ目のエピソードは、今となれば笑ってしまうことですが、木下先生と保健医療社会学会の定例研究会を企画した際に、どういうわけだか、開始時間になっても誰も参加者がこないという事件が起きました。大学院の頃のお隣の研究室におられた青木美紀子さんに遺伝看護の話をしていただく予定だったのですが、結局、ご用意いただいたお話を基に3人で楽しい議論の時間を頂きました。
青木さんには失礼な話でしたし、木下先生とも頭をポリポリ書きながら、理事会でどう報告しようかとお話ししたのを覚えています。

木下先生を知る者として、先生の保健医療社会学や看護学へのご貢献を継承しなければと思います。

第13回日本在宅看護学会学術集会を開催します

第13回日本在宅看護学会学術集会の学術集会長を拝命することになり、この度、第13回日本在宅看護学会学術集会のホームページを開設いたしました。

テーマは「在宅看護、すぐそばに在る」です。
様々な方々の在宅療養を支える仕組みができていますが、地域偏在や重複、事業所の継続性、職員の高齢化、社会保障の財源など、先々を見れば気になることばかりです。こうした問題に目を向けて、少しずつ看護学の力を結集してゆけるような機会にしたいと思います。

会期は11月18・19日で、ハイブリッドでの開催となりますので、会場、遠隔での参加が可能です。
またオンデマンド視聴期間もこれまでより延長する予定です。
参加しやすい学術集会にしたいと思いますので、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。

ホームページも順次、コンテンツも増やしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

清水準一

小児を対象とする訪問看護ステーションの探し方

twitterで、「本当は訪問看護ステーションを変えたいのだけど、病院のほうで調整してくれたし、他に対応してくれるところがあるかわからないから、我慢せざるを得ない」みたいな投稿をされている医療的ケア児のご家族の方がおられました。

たしかに介護保険のサービスについては、「介護サービス情報公表システム」があり、利用者さんやご家族自身が居住地域付近の訪問看護ステーションを探すこともできなくはないと思います。そして、高齢者の場合にはケアマネジャーさんに頼めば、情報提供してくれると思います。小児だとケアマネさんはいないので、上述したtwitterの方も主治医のいる医療機関のMSWの方などにご相談いただけるとよいのかなと思います。私としては全体としてどうなっているのかも気になるので研究者として利用できる情報源のほうに話のポイントを移しつつ、どんな方法があるのかを考えます。

実は医療保険の(小児の)訪問看護サービスについてはまとまったデータベースがないのが現状です(研究者としてもちょっと困ります)

とりあえず、医療保険の訪問看護ができるステーションは、厚生労働省の外局である関東信越厚生局などのHPから、一覧としてダウンロードすることができます。通常介護保険がつかえる事業所して申請するとこちらにも登録される仕組みがありますが、小児専門のステーションだと、こちらにしか登録がありません。

こちらに登録があるからと言って、小児の訪問看護に対応しているのかどうかは、これだけではわかりません。

一つ目として、訪問看護ステーションは地域ごとの協議会とか、教会というものを作っていて、そちらに一覧が掲載されている場合があります。東京都訪問看護ステーション協会の一覧神奈川県訪問看護ステーション協議会の一覧は小児に対応しているのかを含めて、とても分かりやすいです。ただし、全国どこでもこうなっているわけでもないし、加入は任意なので、網羅されているとは限らない…。

二つ目として、小児慢性特定疾病医療費助成の対象となるよう申請をしている訪問看護ステーションの一覧が考えられます。東京都の場合、一覧があり、児童相談所ができた地域にはそちらに事務を移管しているということですが、荒川区のHPでは、一覧を見つけることはできませんでした…(見つけた方教えてください)。千葉県の場合もPDFで一覧が公表されていました。政令市や中核市のサイトのリンクがあるのは親切!
ただ、制度上、申請しているだけで、実際に利用している児がいるかどうかはわかりません。

三つ目として、先ほど出てきた、介護保険の検索システムで訪問看護で、事業所を選んだら、詳細情報を表示させ、その中の「事業所の詳細」-「サービス内容」を選択すると、「訪問看護の提供(介護保険適用以外の利用者も含む)実績」という項目に、10歳未満や10代の利用者数が表示されますので、そちらで利用状況を把握することができます。この条件で検索する方法が見つからないので、1個ずつ見てゆく形になりそうです。

全数が定期的に更新されるデータベースがあって、検索式で簡単に見つかるとよいのですが、私は知りません。何か情報があれば、コメントなどいただければと思います。

こういうのを見ると、「データサイエンスの推進とかいう前に、持ってるデータを使える形で出してください!」とついつい愚痴りたくなります。

大学院説明会・個別相談会の開催

私が勤務している東京医療保健大学大学院千葉看護学研究科では、修士課程への進学を検討している皆さんを対象として、説明会、個別相談会を11/27(土)に開催します。Zoomでの遠隔対応も準備する予定ですので、進学を検討されておられる方、ぜひお申し込みください。
オンライン授業も活用して働きながら学べる大学院です。詳細やお申込みはリンク先を御覧ください。私はコミュニティケアの内容を主に担当していますが、入学時点では分野を特定せず、研究のテーマや関心を踏まえて指導教員を決めています。
研究科のページ:http://www.thcu.ac.jp/graduate/chiba/
説明会のご案内:https://t.co/JKgr6rYGSf?amp=1