2017年の御挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。

今年度も、在宅看護学の研究・教育に邁進したいと思います。年頭にあたり少し考えていることをまとめておこうと思います。

昨年は当初想定していなかった教育上の担当がかなり増えたこともあり、なかなか日中に、対象先を回ったり研究補助者を招いて準備をすすめる余裕がありませんでした。このあたりは、今年修正していきたいと思います。その代わりというわけではありませんが、夜に一人でもできる執筆作業はいくつか進めました。

年内に出した「在宅新療0→100」の解説のほか、3月までの間に医学書院の在宅看護論のテキスト、恩師らの仕事を引き継ぐ形で「生き方としての健康科学」の改訂版、そしてまだ執筆中ですが、一昨年のコミュニティケアの増刊号で取り上げた実習の特集が書籍化される予定で、内容を新しくすると共に一部内容が追加される予定です。

自分の研究については、現在のGISの科研をまとめるか延長していくことと、生体肝移植のドナー調査が再開しそうなので分析、論文化に尽力したいと思います。(ここで施設別のマルチレベル分析もできるかな)

教育については、4月からの新しい態勢で、質を落とさずにどのようにやっていけるのか、大変懸念を残しています。投入する資源を少なくして同じ成果を残せる方が不思議なのだとも思います。なかなか答えの出ない話です。大学院に関しても在宅看護CNSの養成は本学ではまとめの時期に入ると思いますが、やはり昨年度の状況を踏まえると修了生の看護協会の試験について何らかの支援をしていかないといけないのかもしれません。本学単独ではなく学会での活動などともうまく結びつけて行けると良いかなと思います。

社会貢献という点では、NPO法人在宅ケア協会での幹事を昨年の任期満了の時点で退任することに致しました。また学会活動では4年間務めてきた日本保健医療社会学会の理事についても今年の5月で退任となります。昨年からお引き受けしている日本在宅看護学会の理事については当面続くようですので、研修担当として現場の方、研究者向けにどのような研修を組んでいくのか検討してゆきたいと思います。

色々、これまでの状況を振り返り、昨年末に私なりに一つの決断をしました。これがどのような結果になるのか私にも良くわかりませんが、自分にできることや仕事の方向性がそんなに変えられるものではないと思います。これまで忙しさにかまけて調査研究を避けてきてしまったけれど、やっぱり自分の得意分野は調査研究かなと思ってみたり…と不惑を数えで4つ過ぎてもまだ惑うことばかりです。こんな私ですが今年もどうぞお付き合いください。

訪問看護師と医師との連携についての解説が掲載されました

在宅新療0-100 2016年12月号に、戸村ひかり助教との共著で「訪問看護の現状と医師との連携を踏まえた今後の役割」と題した解説論文が掲載されました。

訪問看護をもっと知る 連携し、地域と患者の生活を支えるために」という特集の総論として掲載されたもので、この雑誌は看護職だけではなく地域医療・在宅医療に従事する医師も読者におられるということで、訪問看護制度や訪問看護ステーションの状況などを簡単にまとめた上で、訪問以外の看護ケアの提供の仕方や、医師との情報共有やACP、看護職の継続教育まで、トピックを示したものです。

各論では、訪問看護師と在宅医とが連携しながら進めた状況が掲載されていますので、ぜひぜひお読みください。

執筆の機会を頂いた編集者やあすか山訪問看護ステーションの田中道子所長にも感謝いたします。

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今年の卒業研究が終了

本日、4年生の卒業研究の発表会が開催されました。

2月に配属が決まった後、実習をはさみながら6月と7月の週2ペースの定期的なゼミと8月以降は個別の指導を受けながら4年生が論文にまとめました。紆余曲折を経た学生もおりますが、島田先生が担当していた学生も含め、調査結果を適切にまとめられていたと思います。

今年のテーマは以下のとおりです。

  • 実習で新卒訪問看護師になれると感じた学生が就職先に病院を選択した理由
  • 在宅療養を行うがん終末期療養者の家族の予期悲嘆を支える訪問看護師の関わり
  • 医療的ケアが必要な子どもの在宅療養生活を支えるデイサービスにおける看護師の支援内容
  • 退院調整看護師により退院支援係を配置した病院の退院支援のしくみづくり(戸村ひかり助教と共同で指導)

今年は質的な研究ばかりになりました。調査にご協力いただいた皆さんには、明日以降学生がお礼と研究の報告に伺わせていただく日程等のご連絡を差し上げると思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。学生に学ぶ機会を与えて頂き、私からも感謝申し上げます。

ブログ表示の高速化

閲覧にあたり、表示が重い印象を受けたので、ネットの情報を参考に設定の変更やプラグインの選択をし直しました。

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第36回日本看護科学学会学術集会の備忘録

最近、全然このブログが更新できていません…もう少し情報発信しないと。

学会全体についての感想としては、予想以上に抄録集等のアプリが便利だったこと、不便だったのはポスターの会場間の移動がかなり多かったこと(予想はしていましたが)。

大会テーマが「政策に活かせる研究」みたいな感じだったのですが、大会長講演では、そこにどのように至るべきなのかというプランは看護研究センターを作るという点以外では、あまり示されなかったように思います。ただし、なかなか体験できない国レベルの政策決定に関与した経験を聞かせていただいた事はとても有意義でした。

政策決定に必要な研究となれば、高いエビデンスレベルの研究が必要となるようですが、看護の研究ではRCTは組みづらいし、僕もRCTをやったこともないので大層なことは言えませんが、そうであれば傾向スコアを使った研究であったり、大規模な研究や追跡研究の研究デザインの立て方みたいな部分で発表なり議論なりがあってもよかった感じがします。看保連から国に出している技術評価の基になる研究というのも一度ちゃんと調べてみよう。

また私は在宅看護のセッションの一つで座長をしていたのですが、東大の野口麻衣子さん達の発表は訪問看護師の就業継続意向と、同僚間の関係性を見たもので、やはり関係性が良いことが大事だということでした。この研究に関連して、以前も訪問看護師の職業ストレスの研究をどこかの先生がご発表になったときにも、思ったのですが、1施設で3名ぐらいが回答されていたようなので、所属施設を識別できるようであれば、マルチレベル分析をすると単に個人の回答だけではなく、施設ごとの関係性も変数として取り上げられるし、より正確な情報が得られるのかなと思いました。訪問看護ステーションのような施設による違いが大きい組織を対象とした量的研究では、標準的な研究デザインの選択肢になるとよいのかななどと座長をしながら思っていました。

公開データでGISとかしている私ですが、やっぱり研究デザインが大事だなと感じた学会でした。

白衣を捨てて街に出よう!