簡単そうで難しい胸腔ドレーンの管理
急性期看護の講義で、「胸腔ドレーンと肺理学療法」というコマを担当しているのですが、厚生労働省が公開している昨年実施された第95回看護師国家試験の問題の中に、
第82問 胸水貯留時の胸腔ドレナージ法で正しいのはどれか。
1. ドレナージ中は輸液を行わない。
2. 呼吸困難が消失するまでドレナージをする。
3. 胸腔ドレーンは水封にして管理する。
4. 歩行時は胸腔ドレーンをクランプしない。
という問題があります。
正解ですが厚生労働省の正答では、「3」となっています。
1は、単発の胸腔穿刺でもそうだと思いますが、胸水として体液が流出するわけだから、輸液が必要となることはあっても、輸液をしてはいけない理由は思い当たりません。
2は、ドレーンを留置しているのであれば、呼吸困難が消失するまでドレナージというのも無理があるし、2リットル以上貯留しているような場合だと、急激には抜かないで途中でクランプかけたりしていたと思います。(教科書的には、圧迫されていた肺胞の毛細血管が開いて血液が流れるようになることや、胸水の貯留している圧によって流出が妨げられていた胸水がジャカジャカあふれてくるので、低血圧やショックになるからと書いてあると思います。)
3は、原則的に水封(ウェーターシール)にしないと外部から胸腔内に空気が逆流してしまうことは、常識的なので正解としてゆるぎないでしょう。
問題は4で、これが不正解だとすると「歩行時に胸腔ドレーンをクランプする」ことが正しいということになるのですが、このあたりがなかなか良い説明が見つかりません。
気胸や術後などで、エアリークが見られるような時期には、胸腔内に空気がたまらないように、原則クランプをしないでウォーターシール管理ということで良いと思うのですが、固定が適切になされているという前提があれば、胸水貯留時にクランプをかけないといけない理由もないと思います。
それとも単純に歩行して接続が外れる可能性があるから、その時はクランプしておけば肺の虚脱が防げるということなのか…。
チューブ鉗子2本ぶら下げている方が、どっかに引っ掛かってドレーン自体が抜けそうな感じもします。
しかしこれを理由とすると、エアリークのある術後患者は歩いてはいけないことになって、早期離床も果たせないことになるし…。
いずれにしても、あんまりいい問題じゃない感じがします。
コメント
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Kanegon様
丁寧なご指摘ありがとうございます。
私も臨床の時に胸腔ドレーンをクランプするのは、抜去前のテストかバッグ交換の時ぐらいしか経験がないもので、いろいろ深読みしてみたわけですが理屈がつかず、コメントをいただいて安心しました。
Comment by 清水 準一 — 2007年10月1日(月曜日) @ 11時56分16秒
フルクテーションについて教えてください。
Comment by りんご — 2007年11月26日(月曜日) @ 09時12分07秒
りんごさん、こんにちは。
「フルクテーション」って、fluctuationのことでしょうか?
いわゆる「呼吸性変動」のことだと思うのですが。
http://www.ne.jp/asahi/nishi-kobe/masui/lecture.html
に分かりやすい説明があります。
Comment by 清水 準一 — 2007年11月27日(火曜日) @ 00時20分06秒
質問です。胸腔ドレーン留置中のハマパック交換時チュウブの先端の消毒は、必要ですか?必要であれば、消毒は、何をしようしていますか?
Comment by おかぽ — 2009年6月15日(月曜日) @ 02時22分23秒
おかぽさん、おはようございます。
ご指摘のような、臨床でのエビデンスについては、まめに調べていませんので、答える資格がないと思います。
胸腔ドレーンの交換なんて10年はやってないです。(できるとは思いますが。)10年前の知識でよければ、交換のときにはイソジンでドレーンの先端は消毒していました。「チュウブ」ってバッグ側ですか?キャップみたいなもので保護されれていれば、滅菌されているわけだから消毒は不要でしょう。
こういうことは、現場で物を見ながら指導を受けるのが一番だと思います。
Comment by 清水 準一 — 2009年6月15日(月曜日) @ 09時49分20秒
ありがとうございました。病棟で検討してみます。
Comment by おかぽ — 2009年6月19日(金曜日) @ 06時47分31秒