またもや日本医師会が…
最近話題の「特定看護師」については、このブログでもたびたび登場する羽生田理事が「日医をあげて阻止する」そうですが、日本医師会の定例記者会見のページから、けっこうすごい報告書を見つけてしまった。
医療関係者対策委員会というところが出した「将来を見据えた看護職種の制度・資格のあり方について」についてという報告書は、読む前から准看護師養成機関の支援体制を求めるものだろうと思っていたのですが、なかなかすごい内容でした。
最後の第6章の「おわりに」は、以下の文章から始まります。
大卒看護師の就職率の低さ、離職率の高さを見る時、大学は看護師養成は行うが、その活用を考えていない。報道されている現状からも、大病院は看護師を使い捨てにしている、と言わざるを得ない。
前述したように、教育体制のないままの無計画な看護大学の創設、その結果、資質不足の看護大学生の粗製乱造や、突然の7対1看護基準の導入による高度医療の大学病院等への大量採用などが、就業率の低さ、離職率の高さの大きな原因となっている。無秩序な看護大学の創設は適正な看護師養成とは言えず、控えるべきである。
看護師教育には少なからざる公費が投入されている。公費を使って教育を受け資格を得た者が、その成果を社会に還元しないのであれば費用は無駄使いとなる。資格を得た者が資格を生かせるような仕組みが必要である。
大学で看護教育を行う者として、こうした批判は許せない思いがします。
確かに大学は専門学校ではないので、多様な背景と意図をもって入学してくる学生もおり、すべての学生が看護職になるわけでもないですし、これからも多くの大学を作っていくとすれば問題が生じる可能性はあると思いますが、以下の資料にある事実は良く知られていて、現状の理解がかなり異なります。。
3年生の養成所では約1割が中退しているのに比べ、大学での中退者は明らかに少なく、看護職への就職率も90%程度と専門学校と同程度です。
国内の20の大学病院の新卒看護師の離職率と要因を検討した鈴木らの研究では、全体での9カ月後の離職率が4%で、大卒看護師が0.56%、3年生の養成所卒が6.19%と明らかに差がみられています。
米国での例ですが、Aiken(2003)の研究では、学士卒以上の学位をもつ看護師の割合が高く看護師の配置が多いほど入院患者の死亡率が下がったというのもかなり知られている話です。
参考 今後求められる看護師の資質と教育〜20年後の看護職確保の観点から〜
この報告書では看護職の層別が必要と主張しているのですが、仕事内容も大きく異なる看護師を、定年まで働けるとか、地元への定着率がよいという准看護師と同じ基準で評価していることや、3年生の養成所と大学とを混ぜたデータを示しながら、大学教育のみを非難をするというのはどうなのでしょう。
大学のことならともかく、人間である学生のことを「粗造乱造」などとモノ扱いしてしまう医師を教育した医学教育のほうがよほど問題だと思います。
この委員会につきあわされている矢野先生もお気の毒です。
明日は、入試です。今年から南大沢キャンパスで試験が行われます。
社会的責任を担う気概をもって通ってくれる学生が来てくれるとうれしいです。
けっしてゴミやガラクタの類にはしません。
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