科研費改革で在宅看護はどこへ?


現在、文部科学省が検討している 科研費審査システム改革2018 ですが、これまでの細目と新しい審査区分(小区分)には幾つかの変更点があります。

科研費データベースで過去2年間のこれまでの細目別に見た採択件数をみると、基礎2050 臨床2006 生涯発達1368 高齢者693 地域526と高齢者看護と地域看護の採択数が少ないので区分としてまとめてしまったという印象もありますが、これまで研究のキーワードとしてはいっていた「訪問看護」「在宅看護」というキーワードがなくなってしまいました。これがどのように審査に影響するのか、与えられたものだけでは分かりえないところもありますが、小児のクリティカルケアが専門の先生のところに、障害児の在宅療養支援の申請書が届いたりするような感じになるのかどうか(今までも在宅看護や訪問看護といったキーワードが「高齢者看護学」の区分に入っていることに強い違和感を感じていましたが。)

21日までパブリックコメントを受付中ということなので、下記のようなコメント(1000字以内という規定あり)を書いてみました。この部分は、著作権を気にせず自由に使って頂いても構いませんので、改革のページもお読みになって各自コメントを出して頂ければと思います。改善意見なども頂ければ更に嬉しいです。

【改革にあたっての基本姿勢】における、これまでの細目表は学術の分類を示すものではなく、科研費の審査区分であることを明確にするために新たに区分表を作成したという趣旨については、十分に納得できるものである。
しかしながら、その区分については学問領域の発展のため、できる限り公平公正な審査が担保できるものでなければならず、慎重な検討が必要である。

例えば今回の区分においても、それぞれの学問分野で一般的に用いられている分類とは異なる形でキーワードを示す、もしくはこれまであったキーワードが示されなくなることで、申請時に研究内容と(申請者が知りえない)審査員の専門分野が合致しない区分に申請してしまう確率が相対的に高まると考えられ、特に審査区分間をまたがるような研究分野において現状より不利益を生じる可能性がある。

また、平成28年度の審査細目表では別々の項目であったものがまとめられることで、申請件数が膨大となり研究内容と審査員の専門分野の不一致率が高まることが懸念される。

以上より、大区分I-中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野において、以下のように変更することが望ましい。

  • 小区分58080の「高齢者看護学及び地域看護学関連」は、高齢者看護学と地域看護学に分け、高齢者看護学は小区分58070の「生涯発達看護学関連」に含める、もしくは独立した区分とすることが望ましい。

【理由】「生涯発達」という文言は誕生から死までの発達を意味するものであるが現状では「育成期」に特化した区分で誤解を生じやすいことに加え、公衆衛生看護学や特に在宅看護学の近年の研究内容は高齢者にとどまらず、在宅緩和ケア、退院支援、障害児や精神障害者の訪問看護などに移行しつつ増大しているため。

  • 小区分58080のキーワードには、公衆衛生看護学、在宅看護学、産業看護学、災害看護学の4つを含めることが望ましい。

【理由】地域看護学は行政(公衆衛生)看護、産業看護、学校看護、在宅看護の4つの実践領域で構成されるものと日本地域看護学会で定義しており、小区分58080のキーワードに地域看護学と公衆衛生看護学を併記した現状では誤解を生じかねず、また小区分の名称と同じ用語を使用するのでは申請者が審査区分を選ぶ際に参考となる情報量も増えないため。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です